早期相談が推奨される年齢の目安

子供矯正は、顎の骨の成長をコントロールできる時期に行うことに大きな意味があります。そのため、多くの歯科医院では、乳歯と永久歯が混在し始める6歳～7歳頃に一度、歯並びの相談をすることを推奨しています。

この時期に相談することで、受け口や顎の横幅が狭いといった骨格的な問題の早期発見につながります。特に顎の成長を促す必要がある場合は、この年齢を逃すと治療が難しくなることがあるため、早期の検査が重要です。

治療開始のタイミングを決定する要素

治療開始のタイミングは、年齢だけで一律に決まるわけではありません。以下の個別の要素を総合的に判断して決定されます。

歯並びの問題の種類

歯の生え方の問題か、顎の骨格の問題かによって、最適な開始時期は異なります。

顎の成長のピーク

骨格的な問題がある場合、お子様の成長速度（顎の骨が最も成長する時期）を見計らって治療を開始することが効果的です。

お子様の協力度

装置の装着時間や口腔ケアに協力できる年齢や精神的な成熟度も考慮されます。

1．検査・診断と治療計画の立案

治療を始める最初の流れとして、精密検査と診断があります。レントゲン撮影、歯型の採取、口腔内写真の撮影などを行い、顎の骨格や歯の現在の状態、今後の成長の流れを詳細に分析します。

この診断結果に基づいて、1期治療が必要か、それとも2期治療からでいいのか、また、どのような装置を使用するかといった、治療の全体的な流れが決定されます。

2．1期治療（準備段階の矯正）

1期治療は、乳歯と永久歯が混在する時期に行われます。この治療は、将来永久歯がきれいに並ぶための土台作りが主な目的です。

治療の流れとしては、取り外し可能な装置（拡大装置や機能的顎矯正装置など）を使って、顎の成長をコントロールしたり、永久歯のためのスペースを確保したりします。適切な時期に1期治療を行うことで、2期治療の負担や抜歯のリスクを軽減する効果が期待できます。

3．経過観察期間（インターバル）

1期治療が終了しても、すぐに2期治療へ移行するわけではありません。永久歯がすべて生え揃うのを待つ経過観察期間（インターバル）に入ります。

定期的に通院して歯の生え変わりや顎の成長をチェックし、2期治療が必要となるタイミングを見計らいます。

4．2期治療（本格的な矯正）

永久歯がすべて生え揃った後、1期治療で整えた土台の上で、永久歯一本一本を理想的な位置に細かく動かして、噛み合わせを完成させるのが2期治療の流れです。

主に固定式の装置（ワイヤー矯正）やマウスピース型矯正装置などを使用して、最終的な歯並びを整えます。2期治療の後は、歯並びを安定させるための保定期間へ移行します。

装置の装着時間と管理の徹底

取り外し可能な装置を使用する場合、治療を計画通りに進めるために、指示された装着時間を正確に守ることが最も重要です。保護者の方が、装着時間を確認するための声かけや、装置の洗浄・保管といった管理面でのサポートを行うことが不可欠です。

口腔ケアと虫歯予防の徹底

矯正装置の周囲はプラークが残りやすく、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。治療中に虫歯になると矯正が一時的に中断する可能性があるため、保護者の方は仕上げ磨きの際に装置まわりの汚れを確認し、子供が正しいブラッシング方法を身につけられるようサポートしてあげましょう。定期的な歯科検診も重要です。

モチベーション維持と精神的なサポート

治療期間が長くなる中で、お子様が治療に対して消極的になることがあります。装置の使用や日々のケアを頑張っていることを具体的に褒め、精神面でサポートすることが、治療を最後までやり遂げるために不可欠です。治療を前向きに進めるための環境づくりも、保護者の大切な役割です。

Q1．子供矯正を始めるのに最適な年齢はありますか？

A．顎の成長を効果的に利用できる6歳～7歳頃に一度、矯正歯科専門医に相談することをおすすめします。特に骨格的な問題がある場合は、この時期の早期介入が非常に重要です。

Q2．子供矯正の治療の流れは、大人の矯正とどのように違いますか？

A．子供矯正は、顎の成長を誘導する1期治療（土台作り）と、永久歯の並びを整える2期治療（本格矯正）の二段階に分けて進めるのが大きな違いです。1期治療と2期治療の間には、成長を見守る経過観察期間が設けられるのが一般的です。

Q3．子供が矯正装置をきちんと装着してくれない場合、保護者はどのようにサポートすべきですか？

A．保護者の方が装着時間の確認や声かけを行うことが重要です。また、お子様の治療への頑張りを褒め、治療を前向きに進められるように精神的なサポートを行うことも大切です。