症例の難易度と治療範囲

インビザラインの費用相場を決定づける最大の変動要因は、患者様の症例の難易度と治療範囲です。

全体矯正と部分矯正

前歯の一部のみを治療する部分矯正は、全体を治療する全体矯正に比べて、必要なアライナーの枚数が少なく、費用が抑えられます。

歯の移動量と抜歯の有無

歯の移動量が多い場合や、顎の骨格に問題があり抜歯や追加処置が必要な難症例では、アライナーの作製費用や治療期間が長くなる傾向があります。その分、治療費も高くなります。

治療システムの種類とパッケージ

インビザラインには、症例の難易度や治療範囲に応じて、いくつかの治療パッケージ（インビザライン・エクスプレス、ライト、コンプリヘンシブなど）が用意されています。

利用するパッケージによって治療に使えるアライナーの枚数や期間が異なり、この治療システムの種類が、そのまま費用相場に変動を与えます。

歯科医師の技術と使用する設備

歯科医師の技術と経験も、費用相場に変動をもたらす要因です。

技術とノウハウ

難症例に対応できる高い技術や、治療経験が豊富であることは、質の高い治療を提供するうえで重要であり、その専門性が費用に反映されることがあります。

診断設備の導入

精密な診断に不可欠なCTやiTeroなどの口腔内スキャナーといった設備を導入しているかどうかも、治療の質と費用に関わる変動要因となります。

1．治療開始前の精密診断と計画立案

インビザライン治療の最初の流れとして、精密検査と診断が行われます。レントゲン、CT、口腔内スキャナーによるデータ採取を行い、それらを基に3Dシミュレーションで治療計画を立案します。この段階では、検査・診断料が発生します。

2．動的治療期間

診断完了後、カスタムメイドされたアライナーを装着し、歯を動かしていく動的治療期間に入ります。患者様はアライナーを定期的に交換しながら通院し、歯の移動の進捗をチェックします。治療費の基本料金（装置費用）は、主にこの期間に発生します。

3．治療後の保定期間

歯並びが計画通りに整った後は、保定期間へ移行します。この段階では、整えた歯並びが後戻りしないよう、保定装置（リテーナー）を装着します。治療費の総額には、この保定装置の費用や保定期間中の観察料が含まれる場合もあるため、全体の流れとして把握しておくことが大切です。

保定期間の目的と期間の目安

保定期間とは、動的治療によって移動した歯が新しい位置で安定するまでの期間を指します。歯を支える骨や歯茎などの組織が安定する前に保定を怠ると、歯並びが元の状態に戻ってしまう後戻りという現象が起こる可能性があります。

保定期間の目安は、動的治療期間と同程度が一般的ですが、後戻りのリスクに応じて期間は異なります。

保定期間にかかる費用の内訳

保定期間には、以下の費用が発生します。

保定装置（リテーナー）の作製費用

歯並びを維持するために欠かせない装置の費用です。破損や紛失により再作製が必要になった場合は、その都度費用が発生する場合があります。

保定観察料

保定期間中に、歯並びが安定しているか、後戻りがないかを定期的にチェックするための通院費用です。

料金体系による保定期間の費用の違い

インビザラインの総額費用を提示する歯科医院（トータルフィー制度）では、保定期間にかかる費用（リテーナー代や観察料）が総額に含まれている場合があります。一方で、含まれていない場合は別途費用が必要です。

費用を比較する際は、保定期間の費用が総額に含まれるか、それとも追加費用となるかを、事前に歯科医院へ確認しておくことが大切です。

Q1．インビザラインの費用相場に変動を与える主な要素は何ですか？

A．費用相場に変動を与える主な要素は、症例の難易度（全体か部分か）、使用する治療システム、そして歯科医師の技術と使用する設備です。

Q2．インビザライン治療の主な流れは？

A．治療の流れは、まず精密検査・診断から始まり、次にアライナーを装着する動的治療期間、そして最後に保定期間へ移行します。最も高額な費用は、動的治療期間の開始時に発生します。

Q3．治療後の保定期間にかかる費用は何ですか？

A．保定期間にかかる費用は、主に保定装置（リテーナー）の作製費と、歯並びの安定を定期的にチェックするための保定観察料です。