矯正装置の種類による差

矯正費用は、選ぶ装置の種類によって大きく変わります。裏側矯正は高い技術が必要なため高額になりやすく、マウスピース型矯正もカスタム作製費がかかるため費用は高めです。一方、歯の表側に装着するワイヤー矯正は、長く使われていた矯正方法で比較的安価に抑えられます。

治療の難易度や範囲による変動

歯並びや噛み合わせの状態、治療範囲によっても費用は変わります。全体矯正はすべての歯を動かすため期間が長く費用も高くなりますが、部分矯正は一部の歯のみを動かすため安くなります。ただし適用できる症例は限られます。難症例では抜歯や追加処置が必要になり、その分、費用が加算されます。

歯科医院の料金体系の違い

歯科医院によって、費用体系が異なります。トータルフィー制度は治療開始前に総額が提示されるため追加費用の心配が少なく、処置別払い制は通院ごとに費用がかかるため総額が変動することがあります。

1．治療開始前の初期費用

治療前に口腔内や骨格の状態を正確に把握するための費用です。カウンセリングや初診相談で治療内容や費用を確認し、精密検査・診断ではレントゲン撮影、歯型採取、CT撮影などを行い、治療計画を立てます。この初期診断の正確さが、その後の治療期間や成果に大きく影響します。

2．矯正装置費用と基本治療費（メイン費用）

実際に歯を動かす期間にかかる中心的な費用です。矯正装置の作製費や治療技術料が含まれ、全体の費用の大部分を占めます。

また、通院ごとの装置調整や歯の移動状態の確認にも費用がかかります。トータルフィー制度では、これらが装置費用に含まれる場合があります。

3．必要に応じて発生する処置費用

口腔内の状態や治療計画によって、抜歯や虫歯・歯周病治療などの処置費用が別途かかることがあります。さらに、治療を効率的に進めるためのアンカースクリューなどの特別装置の費用も必要になる場合があります。

4．治療後の保定費用

歯並びを安定させるための保定期間にかかる費用です。リテーナー作製費や、保定期間中の通院費用が含まれます。

料金体系や支払方法を事前に確認する

矯正費用を管理するうえで、料金システムや支払方法の理解は重要です。トータルフィー制度を導入している歯科医院では、当初提示された費用に調整料や保定装置代が含まれている場合が多く、急な追加費用の不安を抑えられます。

また、高額な費用を一度に支払うのが難しい場合は、院内分割払いやデンタルローン、クレジットカード払いなどが利用できるか事前に確認すると安心です。

医療費控除を活用する

条件を満たす矯正治療は、医療費控除の対象になる場合があります。噛み合わせの改善や歯の機能回復を目的とした治療は対象となりますが、美容目的（審美目的）のみの場合は対象外です。

家族全員の年間医療費の合計が一定額を超える場合に控除を活用できるため、まずは歯科医師に相談しましょう。

部分矯正の適応を検討する

すべての症例に適用できるわけではありませんが、治療範囲を限定することで費用を抑えられる場合があります。希望する歯並びに対して部分矯正で対応可能か、歯科医師に相談して診断を受けてみましょう。

ただし、奥歯の噛み合わせも含めた全体的な改善が必要な場合は全体矯正が必要になるため、費用を優先し、無理に部分矯正を選ぶことはおすすめいたしません。

Q1．矯正費用の幅は、なぜ生じるのですか？

A．矯正費用に幅が生じる最大の理由は、選択する矯正装置（マウスピース、裏側、表側ワイヤーなど）の違いによるものです。また、症例の難易度や、歯科医院が採用している料金システム（トータルフィー制か処置別払い制か）によっても費用は変動します。

Q2．矯正治療費の内訳で最も高額になるのはどの部分ですか？

A．矯正治療費の内訳で最も大きな割合を占めるのは、矯正装置費用および基本治療費です。装置の作製費や、歯を動かす治療技術料が含まれるためです。

Q3．矯正治療費を抑えるために、治療範囲を限定することは可能ですか？

A．歯並びの状態によっては、奥歯の噛み合わせを動かさずに、前歯など気になる部分のみを治療する部分矯正が適用できる場合があります。部分矯正は全体矯正に比べて費用を抑えることができますが、適応症例が限られるため、まずは歯科医師による正確な診断が必要です。